完璧幼馴染の仮面が崩れるとき
家に着いてふぅ〜とベットに横になる。
部屋を見渡すと、耀との思い出がたくさん。
学生時代、私は東京に出てきた。
就職して、学生時代とは比べ物にならないくらい金銭的に潤っているのに、部屋を変えないのは、やっぱりどうしても耀の存在がある。
初めての東京。勢いで出てきたはいいけど、これでも結構緊張した。
だけど、引越しをわざわざ手伝いに来てくれた耀を見て、久しぶりのカッコよさにドキドキしたのに、なぜかほっと安心もしたのをよく覚えてる。
「この家具はどこ置くの?」とか、「この小物はどうやって並べんの?」とか。
「耀が好きなようにしていいよ」って言ったら、
「えー俺センスねぇんだけど。」って言いながらも完全に私よりもハイセンスな配置をする耀。
その時の思い出がなくなっちゃうような気がして、引越しを検討してもすぐにやっぱりやめようって思いとどまってしまう。
ふと右に目を向けると、クリーニングに出したのになかなか返すタイミングなく返せていない耀のジャケット。
私の左手には耀から20歳の時に貰った腕時計。
私は耀で出来てるんじゃないかってくらい耀に囲まれてる。