完璧幼馴染の仮面が崩れるとき



「なにか音楽でも流そうか?」


と気をつかってくれる秋月さんに、このまま沈黙が続くのもなんだか微妙な気がして、

「じゃあ、お願いします」

と頼んだ。


OKと返事をして、片手で車に内蔵されているタッチパネル式のドライブレコーダーを操作した

秋月さんってどんな曲聞くんだろうと少し楽しみに待ってると、意外と人気バンドの曲が流れて驚いた


「こーいう曲聞くんですね」


と言うと、気恥しそうに


「まぁ、一応ね。バンドの曲って結構元気出るから、今の壇さんに聞いて貰えたらなって」



と答えた。


どうして、いつも秋月さんは女の子へ対する返答として100点満点の回答が言えるんだろう

女子が言われて嬉しい言葉を分かってるんだろうな…そう思った。



秋月さんがかけてくれたバンドの曲に耳を澄ます



『どこにいても 何をしてても
思い出す 君のことばかり…』



『笑い合うたび このままずっと
時が止まればいいと思うのに
君は私を置いて 駆け出すの』





率直な気持ちが切なさを含んだ低い声に乗せて私の耳に届く。
そのひとつひとつの言葉が私の心に刺さって私は感情が抑えきれなくなった




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