完璧幼馴染の仮面が崩れるとき
♤手の届かない君
_____プルルルル
俺の耳には一定の機械音が響く。
そして、しばらくしてから
「おかけになった電話は電波の悪いところにあるか、電源が入っていないため、かかりません」
と、無感情なアナウンスが聞こえた。
やっぱり怒ってるよな。
俺が酔った勢いで茉莉花にキスしてしまった日からもう少しで1ヶ月と半月も経とうとしてる。
あの日、『日本に帰ったら大事な話がある』と茉莉花に伝えて、やっと気持ちを伝える決心がついた。
日本に帰った初日、俺は仕事が終わったら茉莉花に連絡して、20歳の誕生日祝いをしたルシェルというレストランで食事をしてから、思いを伝えようと決めて、レストランの予約をした。
あとは、茉莉花に連絡するだけ。
今週はもうフライトがなくて、日本にずっといるって言ってたし、きっと今日も空いてるはず。
俺は少し緊張すると同時に、どんな表情をされるだろうとか、なんて答えられるだろうとかドキドキした気持ちと、不安な気持ちを交えながら仕事をしていた。