完璧幼馴染の仮面が崩れるとき
「次の日曜日。
エトワールというフランス料理店を19時に予約してあるらしい。
久遠、頼む。行くだけでいいから…」
普段はできる限り、俺ら平社員の頼みや願いを聞いてくれる柔軟な部長がここまで頼み込むということは、結構大きな取引先なんだろうと容易に想像がつく。
もしここで、俺がこの食事を断れば、もしかすると、かなり我社にとって不利益なことが起こるのかもしれない。
「わかりました。
でも、行くだけですよ…?」
俺がそう言うと、部長は安心したように「ありがとう」とお礼を言った
元はといえば、俺の昇進のためだけど。
まぁたぶん、上は俺の昇進にかけてこの話を持ってきて、ビックな契約ゲットって感じなんだろうな。
くそ〜。こんな心配材料があるときに、茉莉花に気持ち伝えんのは微妙だしな…。
はぁあ。これで茉莉花に話すのがちょっと遅くなった…。