狂った彼に花束を
「今日…本当に逃げるのか…?」
クロは足枷を外しながら眉をひそめた。

「…きっとすぐに捕まるぞ。」
…そんなの分かってる…でも、こうなる前にお母さんと会っておきたかった…。
それに颯にも話したいことがある。

私はクロの目を見て頷いた。

「…無理はすんなよ。」
そう言って、彼は私の頭を撫でた。
懐かしい感覚。

「ありがとう。」
なんでこんなに彼が協力的なのかはわからない。
でも、そんなこと、今はどうでもいい。
協力してくれるクロがいたから逃げれるんだもん。

「響夜は1日仕事だ。できるだけ遠くにいけよ。」
クロは私に小さな端末とポケットから財布を取り出した。
< 114 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop