狂った彼に花束を

私は声の主を確かめるまでもなく、ドアを思いっきり閉めた。

…ドアの横に響夜が立っていた。
私はベッドの布団を頭まで被り、目をきつく瞑った。

「ひどいなぁ。せっかく迎えに来たのに逃げ出すなんて…」

響夜の声色がどんどん険しくなるのが手に取るようにわかる。

「ねぇ、花音、君はクロに手を出されてないよね…？」

私は何も聞こえないふりをして、丸くなる。

…助けて…クロっ！！