狂った彼に花束を
「わかった。運べ。」
響也がそういうと、クロはガタイのいい男達によって運ばれる。

「おいっ!俺はまだ話が終わってねーんだよっ!」
しかし、無情に閉ざされるドア。

静まり返った部屋には私と響夜が残された。

「…逃げ出してごめんなさい。」
怒られると思ったが、響夜は何も言わずに私の頭を撫でた。

「君が戻ってきたんだからいいよ。」
響夜は手際よく私を縛る縄を解いた。
解かれた手首には赤い跡がくっきりと残っていた。

「痛かった…?ごめんね。」
私は小さく首を振った。
君はよかったと心底安心したようにつぶやくと私を優しく抱きしめた。
< 136 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop