艶羨
私の方が彼よりも早く産まれただけ。
私にとってはただそれだけの話。
気づけば彼の腕の中にいた。
「咲ちゃん、好きだよ。」
そして、彼は私にキスをした。
「ここでそういうことはしないように言ったでしょ?」
「大丈夫、誰も見てないから。」
「見られたらアウトだからね。私も、律くんも。」
彼の言動が嬉しいけれど、そして誰かに見られていないかそれだけが心配だった。
「はは、気をつけなきゃ。」
彼はヘラヘラ笑っていた。
少しは危機感を持ってほしい。
「そう思うなら、こういう所でキスしないの!じゃあ、私は先に戻ってるね。」
そう言って、彼のもとを離れた。
私が恋したのは、濱田律、17歳の高校2年生。