黒猫-KURONEKO-《短編》
黒猫と系譜
アタシはイマドキな我が家に何故かある、
奥座敷の真中に座らされていた。
北欧系の家具で統一されてるはずなのに、
この部屋だけ純和風。
まるで、異空間。
昔からアタシは、
この部屋が苦手だった。
何十畳もある広くて、
きんきらで渋いフスマに囲まれた部屋の中は、
薄暗くて息苦しい。
床の間の前に、2枚重ねの座布団に座るお祖母様。
その横につつましく控えるお母様。
いつもアタシにやさしい二人も、
この部屋で顔を合わす時は怖い顔になる。
その二人を前にした部屋の真中で、
アタシは正座していた。
「イヤです」
「わがままを言うでない」
「私にはできないもん」
きっぱり言い切って、
絹糸のようといつも二人が褒めてくれる黒髪を、
肩ごしに舞わせながらツンと顔をそむけた。
そんなアタシに、
お祖母様の叱責がとんだ。
「典子!」
奥座敷の真中に座らされていた。
北欧系の家具で統一されてるはずなのに、
この部屋だけ純和風。
まるで、異空間。
昔からアタシは、
この部屋が苦手だった。
何十畳もある広くて、
きんきらで渋いフスマに囲まれた部屋の中は、
薄暗くて息苦しい。
床の間の前に、2枚重ねの座布団に座るお祖母様。
その横につつましく控えるお母様。
いつもアタシにやさしい二人も、
この部屋で顔を合わす時は怖い顔になる。
その二人を前にした部屋の真中で、
アタシは正座していた。
「イヤです」
「わがままを言うでない」
「私にはできないもん」
きっぱり言い切って、
絹糸のようといつも二人が褒めてくれる黒髪を、
肩ごしに舞わせながらツンと顔をそむけた。
そんなアタシに、
お祖母様の叱責がとんだ。
「典子!」