黒猫-KURONEKO-《短編》
軽く指先が亀裂に触れるだけで、蜜が音をたてて歓迎する


「あぁん」

「ほら、まだ触ってなかったのにこんなに溢れかえってるよ。
いつからこんなにあふれさせていたんだ?」

「そ、そんなこと」


肩に顔を押し付け恥かしがっているアタシに、
Jは嗜虐心をあおられたのか、
意地悪な言葉がとびだした。


「あの男に胸を吸われた時は感じなかったのかい?
こんな風に熱くならなかったというのか?」


「ちがっ、ちがいます。
あれは、すごく嫌だったの。
普通にカードを掏り取るつもりだったのに、
襲われてあんなことされて。

かわさなきゃいけなかったのに、
うまくできなくて、
だから、
そんな風にさせるこの胸が嫌いで......」


くちごもりながら眉をひそめ泣きそうになりながら答えるアタシに、
Jはやさしく抱きしめ、
そして胸をやさしく持ち上げると唇を這わせた。


「恥じることはないさ。
胸ももちろん素敵だけど、
それ以上に君自身が魅力的なのだから。

ほら、
こうすると胸が感じるんじゃない、
君自身が感じるだろ?
胸がなくても君は充分素敵だよ。
その瞳だけでも、
こんなに僕をとりこにしてしまった」


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