キスしたのは最低野郎でした。
このド変態ロリコン要素も持ち合わせてるのか最悪。
見上げる。そこには自信たっぷりの彼の顔があった。
「俺に全部任せろ。お前を守ってやる。救ってやる。お前は俺についてくればいいんだよ。俺はお前のためなら辛くても苦しくても乗り越えられるからさ」
さっきから本当に幸せそうに笑って、楽しそうで、とんでもない決心を今述べたと言うのに、まだ笑ってて。
凄く心強かった。琉輝君が私の中で大きな存在に変わっていく。大丈夫だと安心出来る場所へ変わっていく。
「ありがとう、そんなこと言ってくれて、嬉しいよ」
少しトーンが高かった。言葉を発するのに緊張したのだろうか。琉輝君は相変わらず笑っている。
「いいってことよ! ま、俺がやりたくてやるだけだけどなぁ大体は」
なんなんだろ、本当に初めてなんかじゃない気がする。やっぱり小学生、あの時結構仲良かったよ、ね?
完全に消え去ってしまった記憶に語りかけるように問うたが返事なんて帰ってくるわけもなく。私は琉輝君に身を預ける。
「わ! っと大丈夫か?」
予想だにしない出来事に熱でも出てしまったかと気にかけて私のおでこに手をあてる。
「んー? 熱は無いな? じゃあなんでそんな俺にもたれかかって?」
「琉輝君ならいいと思った、ただそれだけ。琉輝君になら心開いてもいいかなって」
もう目を閉じて完全のリラックスモードに突入した状態で口を開く。
甘えてもいいよね、気を抜ける時間や場所なんて限られてるし。
彼の体温がやけに気持ち良く寝そうになる。
私を抱き締めてニヤニヤしてる琉輝君はつぶやいた。
「もう付き合おうぜ」
え? いや、え、ちょっと待って。
私は戸惑いを隠せなかった。額に汗が滲む。
オロオロしていると琉輝君は私を抱き上げた。
「ちょ! 何して…!」
「お、意外と軽いな」
などと悠長に軽口を叩いている琉輝君は平然としていた。
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