キスしたのは最低野郎でした。
機嫌も直っているので一安心。
「ぷっ、あはは!」
私からなのが余程嬉しいのか顔が緩んでいて面白い。私は後先考えずに笑ってしまった。
「あ~、分かっちゃった俺。お前俺の機嫌直す為に嫌々抱きついただろ?」
「へ? いやいやそんな訳ないじゃん」
「顔に書いてあるぞ『私は琉輝君の機嫌直しに抱きつきました』ってさ」
マジですか。
図星だったので今から何をされるかと考えてゾッとする。
「な、何するの?」
「何って俺の機嫌直せれた御褒美だけど?」
え、待っていらない。
「大丈夫ですいらないです」
「遠慮しなくていいんだぜ?」
遠慮なんてしてないです何言ってるんですか。
「じゃあ聞くけど御褒美ってどんなの?」
「ハグとキス」
いや今の発言で私普通に死ねるわ。
私は御褒美拒否希望なのでリビングに入ってきた時に通ったドアへ走った。
「あっ! お前!」
負けじと琉輝君が後ろを追って走ってくる。
私がドアノブを回そうと手を掛けるのと琉輝君が開けさせまいとドアに手をつくのが同時だった。はたから見たら琉輝君が壁ドンをしている感じ。
「あの私帰りますお邪魔しました料理美味しかったですさようなら」
「帰らすわけねーだろ馬鹿」
琉輝君が帰らせてくれませんでした。
「なんで? もう遅いから本当に帰らないとまずいんだけど」
正直焦っていたのは事実だ。連絡を入れたと言っても今の時刻は十時。本来ならもう寝ている時間である。
「え、泊まればいいじゃん」
「だから私明日は学校あるんだって」
何回言えば分かるのだろうか。
「じゃあもしも明日学校無かったら俺の家に泊まってくれたのか?」
「いやそういう訳じゃないけどさ」
今日知り合ったばかりの男の子の家に泊まるなんてことする訳が無い。どれだけ無防備だと言うのだ。
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