キスしたのは最低野郎でした。
「んだよ期待して損したお詫びくれ」
「馬鹿なんですか」
本当に見てて呆れる。一言一言が私に対しての感情で気持ちだということは分かるのだがこういうのには結構慣れている。学校でよく言われるからだ。選ぶ学校間違えたね。
「まあ逃げたくなる程恥ずかしい御褒美、早くやろうぜ」
「え、ちょっと待って!?」
私が反対するよりも先に行動へ移す琉輝君に顎をクイッと上にあげられる。彼は瞳を閉じて顔を私に近づける。
「わ、あ、ちょ」
恥ずかしいとかそういう問題の前提に私はファーストキスだ。こんな男に取られるとはなんとも屈辱な。口を口で塞がれる前に必死に抵抗したがそんなものは無意味で結局琉輝君とキスすることになった。
「んっ」
両手を持たれていた。何故か。抗うことも出来ず口の中に琉輝君の舌が侵入してくる。
「ふぁ…!?」
ここまでするとは言ってないと手で押してやろうと思ったのだが束縛されていることを思い出し諦めた。
やはり私は敏感体質で時々手に力が入ってしまう。それを琉輝君がご丁寧に怪力でねじ伏せる。
長くキスをした。私はキス、ただそれだけの行為で息が上がっていた。
「はあっ、はあっ」
力が抜けて床に座り込む。琉輝君は満足そうに佇んでいた。
「お前いい顔するな。そそる」
「なっ…!? 何処までのキスさせてるの!? あんなキス愛し合ってる人くらいしかしない」
「まあまあどうせ後でそうなるんだからいいじゃないか」
「いやそれは無いと思うんですけど」
「そうとも限らないからな?」
どうやら琉輝君は少しの可能性を信じているらしい。
ま、せいぜい頑張りなよ。無理だから。
「俺がお前を落とす。待ってろよ未来のお嫁さん」
「そういう言葉響かないので諦めた方が?」
「いや諦めるとか絶対無いから」
本気過ぎませんか。
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