キスしたのは最低野郎でした。
本気になってくれるのは嬉しいけど、学校のアイドルに彼氏が出来ちゃったりしたらうちの学校の男子がガッカリしちゃうからなぁ~。その辺は迷う。
「あ、でも琉輝君のお前呼ばわりが治らない限り私は絶対に付き合いませんからね」
会ったときから気になっていたお前呼ばわりを軽く忠告しておいた。
だってなんか嫌じゃん。琉輝君一回も私の名前呼んでくれた事無いんだよ? 有り得なくない?
「あー、それなんとかならないか?」
「なりません」
あのさ彼女ましてやお嫁さんにしたい人の事お前ってどうかと思うよ? ちゃんと名前で呼んでくれた方がこっちとしても嬉しいんだけどな。
「えぇ、弱ったな」
琉輝君は考え込んでしまった。何が彼をそれ程までに躊躇わせるのだろうか。
「何? 私の名前呼ぶのが嫌なの?」
「違う! そうじゃなくて… 恥ずかしい」
「え?」
それどちらかと言うと私の台詞。
琉輝君は本当に恥ずかしいようだ。壁に手をついたまま深呼吸をする。
「お前じゃ駄目か?」
「そんな人とは付き合えません」
努力前提に振られるやつだ。
無理無理無理。お前は無理。それじゃ誰でも振り返る。
「どうしよ、学校でもクラスメイトお前でしか呼んだことないのに」
「琉輝君って人見知りなの?」
「まあそんなとこだな。会うとか接するとか話すとかなら問題ないんだけど名前を呼ぶとなるとどうも恥ずかしくなってな…。 この体質凄い困る」
そうだったんだ。
でもお前呼ばわりが嫌なのは変わりない。だったら条件にでもしてしまおう。
「じゃあ、私と付き合う条件として私のことを名前で呼べるようになること、後私を琉輝君大好きにさせること。いい?」
これはちょっとした賭けだ。琉輝君がどれだけ私に本気なのかお手並み拝見としよう。
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