キスしたのは最低野郎でした。
なので美男美女が並ぶというなんとも悲しい光景が広がっていた。多分周りの人からはリア充などと思われている事だろう。迷惑極まりない。いつも私は超絶可愛い為に毎日恒例家から顔を出すニートや何処ぞのお父様にジロジロ見られる。そいつらも周りの人と同じ頭をお持ちであろう。最悪だ。
やだ、なんで琉輝君いるの死んで。などと言う刃物のような言葉が出てきそうだったが喉元で留めた。
「めっちゃ目立つから他の道で行ってよ」
「は、やだしお前と行きたいんだよ察しろ」
そんなこと察したくもありません。
「というか、琉輝君ってどこの高校行ってるの?」
「え? 棗高校だけど?」
嘘でしょこんなイケメン知らない。
そういえば二年生の先輩で人集りが出来てたなぁとぼんやり思い出す。
あのいつもスルーして帰ってる人集りって、琉輝君だったの?
考えればいつもテストの日だけ人集りが出来ていたような気もする。
「あのさ、いつも人集り作ってる二年の男子って…」
「あ、あれ俺」
ですよねー。
長い溜め息が出てしまうほどに私は凹んだ。
私学校行っても琉輝君から解放されないってことでしょ? やばい男子の人気度下がるかも。
「俺との登校に胸がときめいてるって? ありがとう」
お願いします天に召されて下さい。
「はぁ、琉輝君と行くのが凄い嫌、帰って」
「お前とことん毒舌口塞いでやろうか?」
「はぁ? 道端でとかやめて馬鹿でしょ」
今の琉輝君の発言に物凄く引いた私だった。
もう結構近くに学校がある。私は大きく深呼吸をして頭を転換させる。学校理想天才美少女という猫を被る。
「あっ雪姫さんおはようございます!!」
右の道から合流した二年の男子が敬語で話す。
「おはよう」
満面の笑みで挨拶を交わす。完璧。
すると後ろから琉輝君が小声で囁いてきた。
「お前さっきとキャラ違うけど」
内心滅茶苦茶焦ったが平然を装う。
「これは学校モード。邪魔しないでよね」
同じく威圧混じりの小さな声で返す。
「おっけー」
案外素直だったので驚いたがこれも内心だけに留めておく。
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