キスしたのは最低野郎でした。
「…ここが琉輝君の家?」
確認の為に訊いたが案の定彼の家だった。
「私、琉輝君がここに住んでるなんて知らなかったんだけど」
「あ、そうか、確かに知らなくてもおかしくないな。だって俺学校で勉強なんかしなくたって点数取れるし、行く必要ねーだろ?」
まあそうかもしれないけどさ!?
でもそれなら納得がいく。だって私は登校する時だって夜帰宅する時だって、1度も彼を見たことがないのだから。
あれ? じゃあ琉輝君って不登校?
「琉輝君期末テストとかは流石に行くよね?」
「そりゃ期末テストは行く。でも他は教科書パラ見で大丈夫だから行かねー。あ、文化祭とか楽しいやつは勿論行くぞ?」
そんな滅茶苦茶な。
「学校ちゃんと行けば??」
私はそう質問する。けれど彼は首を横に振った。
「なんで?」
「だって行ったって女が寄ってくるだけだしめんどい」
あ、そっか。琉輝君かっこいいもんね、なるほど。
それだけ好かれているいうのに何故私を選ぶのか疑問だ。
ていうかまず初対面で好きとか意味わかんないんだけど?
私と彼は今日会ったばかりだ。それなのにどうして私を好きになったのだろう。やはり顔だろうか。
「まあ入れよ。お泊まり会でもしようぜ」
「いや私明日学校ありますから」
明るい笑顔をこちらに向けていた琉輝君にトドメを刺した。
「もうなんでお前はそんなに毒舌なんだよ、『昔』はそんなんじゃなかったのになぁ」
今、昔って言った?
その言葉が妙に引っかかった。私の中では今日が初対面というのに、彼は私と昔話したことがあるのだろうか。
首を捻って考えるが無論答えは出てこない。
前を見ると琉輝君が手招きしていたのでそちらに向かう。リビングだった。部屋の真ん中辺りにソファーと机が置いてあり、下にはカーペットが敷かれていた。部屋の隅にはタンスやテレビなどの必需品がゆったりとしたスペースに並んでいる。
< 8 / 39 >

この作品をシェア

pagetop