先生、ボクを飼ってよ
「今日はなにもないよ。修くんは?」
「俺は部活」
「私は生徒会ー! 入学式の手伝いもある!」
すると、風香ちゃんが振り向いて、元気よく手を挙げた。
「お前には聞いてないんだよ」
……修くん、風香ちゃんに冷たいような?
って、気のせいか。
「じゃあ、ボク一人か。二人とも、また明日!」
ボクはリュックを軽い、教室をあとにした。
最近気に入った曲を口ずさみながら、昇降口に向かう。
すると、どこからかピアノの音が聴こえてきた。
この学校には合唱部ないし、体育館はここから遠い。
ってことは、誰かが音楽室で弾いてるってこと?
それにしても、綺麗な音……
ボクは誰が弾いてるのか気になって、音楽室に足を向けた。
「ここだ……」
音はまだ、鳴っていた。
早く誰か見たいっていう気持ちもあったけど、今ドアを開けたら演奏を中断してしまうような気がして、開けられなかった。
ボクはドアに体を預けて座った。
気付けばボクは寝ていたみたいで、目を覚ますとボクの膝の上にセーターとメモが置かれていた。