先生、ボクを飼ってよ


「じゃあ、少し俺の話を聞いて?」


「なに?」


「俺さ、繭に笑顔でいてほしいんだ。繭の全部が好きだけど、一番は笑ってるときの繭だ」



唐突の……告白。


普段言われないから、余計にときめく。



「繭が落ち込んでるなら、励ましたい。悩んでるなら、力になりたい。そうやって、繭の笑顔を守っていきたい」



嬉しい。


嬉しいけど……


そこまでして、私の悩みを聞きたいの?って思ってしまう。



……そんな私がいるって気付いて、嫌になる。



「……これでも話してくれない?」



話せないよ。


話せない。



でも、これ以上優心を苦しめる理由はない。



私の悩みごとを知ることのほうが苦しくなるとしても。



「……わかった、話す」
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