先生、ボクを飼ってよ


後先考えずに体が動いた。


どうしても、先生と二人で会いたかった。



……勢いのまま走ってきたけど、ドアを開けるのは躊躇った。



開けたらどうなる?


開けていいもの?



迷っていたら、音色が途切れた。



まさか……



「椎名君」



予想通り、先生が顔を覗かせた。



「ごめんなさい、先生。ボク……」



どう言い訳をする?


なにを言えばいい?



考えても考えても答えが出ない。



「椎名君、入って」



ボクは先生に言われるがまま、音楽室に入った。



「……来てくれて、よかった」



それは……


ボクを呼んだって取っていいのかな……?
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