先生、ボクを飼ってよ


……ボクを拒絶したくせに。



「ねえ、先生。そんなこと言ったら、ボク、勘違いするよ?」


「……してくれて構わないわ」



先生はピアノの前に座り、演奏を再開した。



どうしよう。先生が考えてること、全然わからない。



なにがしたいの……?



「ちょっと前に、優心……元カレと話した」



元カレって、別れたってこと?



ボクにもチャンスあるかもしれない。



なんて、変なことを考えるのはやめよう。



「それで、私はあなたのことが好きだってわかった」


「……え?」



先生、なんて……


今、ボクのことを好きって言った……?



「嘘……」


「嘘じゃない。もう、嘘をつくのはやめたわ」
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