先生、ボクを飼ってよ
ボクも好きだって返そうとしたのに、先生に遮られてしまった。
それに、どこか悲しそうな顔をしている。
「やっぱり、椎名君とは付き合えない」
「どうして……」
両思いになったのに……
「理由はさっき言った通り。だからね。もし、椎名君が卒業するときにまだ同じ気持ちだったら、そのときは、私の恋人になってください」
そういうことか……
先生、かっこよすぎるよ。
それに、ボクから告白したかったな。
まあ、それは来年の卒業式に、ボクが言えばいいのかな。
「わかりました」
すると、先生は今まで見てきたなかで、一番可愛い笑顔を見せてくれた。
「そうだ、今後はここでピアノを聴かせてくれませんか? ここが、唯一ボクたちが二人きりになれる場所だと思うから」
「もちろんよ、瑞貴君」
その日から、ボクはふわふわとした日々を送った。