先生、ボクを飼ってよ
そして、風香ちゃんはボクと写真を撮ろうとする女子のほうを向いた。
「はいはーい、瑞貴はあたしたちと写真撮るから、ごめんねー」
もしかしなくても、先生のところに行かせようとしてくれてる。
女子のみんなは納得しないような感じだったけど、そこはまあ、風香ちゃんが言うから、みたいな空気になって、解散してくれた。
「よし、行ってこい!」
「うん、ありがとう」
ボクは二人に背中を押され、音楽室に急いだ。
音楽室に近付くと、聞きなれた音が耳に届く。
「よかった、まだいてくれてる」
安心したのはいいけど、ボクはドアを開けることが出来なかった。
でも、入らないと。
伝えないと。
そう自分に言い聞かせて、音楽室に入った。
「瑞貴君」
ボクに気付いた先生は、ボクの前まで来た。
二人のときは、先生は下の名前で呼んでくれる。