先生、ボクを飼ってよ
そして、他の誰にも見せない、幸せそうな顔をする。
それを見て、ボクは確信する。
「繭先生、ボクは、先生のことが好きです。あのときからずっと」
先生は手を口にあて、顔を赤くしている。
「先生、ボクを飼ってくれませんか?」
「……え?」
うん、こういうときにふざけるのはやっぱりよくないね。
先生の顔になに言ってるの?って書いてある。
「ボク、よく犬みたいって言われるから。ダメだったよね」
「瑞貴君、ふざけるなら私から……」
ボクはそっと先生の口元に指をあてた。
「繭、ボクの彼女になってください」
すると、先生は涙を流した。
「先生?」
うつむく先生をのぞき込むけど、手でおおってるから、顔が見えない。
「私、もう瑞貴君の先生じゃないわ」
「……?」