先生、ボクを飼ってよ
達筆で、思わず見とれてしまった。
これ、きっとピアノを弾いてた人がしてくれたんだよね……
ピアノだけじゃなくて、字も上手なんて、きっと素敵な人なんだろうな。
というか、あのピアノを聴き逃すなんて、もったいないことしたなあ。
ボクはセーターを畳み、立ち上がる。
そして、ドアノブを回してみる。
けれど、ドアは開かなかった。
「このセーター、どうしよう……」
このままここに置いておくわけにはいかないから、持って帰って洗おう。
それに、直接お礼言いたいし。
でも……明日もここに来るかな?
もし来るなら、次こそは、ピアノの演奏者に会いたいな……
そう思いながら、学校をあとにした。