先生、ボクを飼ってよ
Episode.1
「男だったりしてな」
次の日、放課後のことを話したら、修くんが一番にそう言った。
「セーターは女物だったよ?」
「自分が男だとバレたくなくて、わざと女物にしたんじゃね?」
そんなに面倒なことしてまで、正体を隠す人がこの学校にいるのかな……?
「字も綺麗だったし……」
「男でも綺麗な字を書く人いるじゃん。現に、瑞貴がそうだし」
風香ちゃんまで……
本当に、男の人のような気がしてきたよ、もう……
そんな中、一限目が始まった。
一限目は森野先生の授業。
挨拶後、先生が黒板に今回扱う作品の題名を書く。
『羅生門』
国語の先生だから当たり前かもしれないけど、読みやすく綺麗な字だ。
授業が進む中、ボクは先生の字に集中していた。
そして、徐々に一つの仮説が浮かび上がった。