先生、ボクを飼ってよ
今日一日、ボクの頭の中はその疑問に支配されていた。
そして気付けば放課後。
「瑞貴、今日も音楽室?」
「うん。修くんも来る?」
「今日も部活だからなあ。誰が弾いていたか、超興味あるのによー」
……からかう気満々なくせに。
「瑞貴! 女の子だといいね!」
修くんとは真逆の言葉をかけてくれた、風香ちゃん。
やっぱり、持つべきものは優しい友人だよ。
「風香ちゃんは……」
「生徒会の雑用。誰か気になるのにい」
風香ちゃんは机にうなだれた。
「佐伯風香ー! はやくしろー」
すると、ドア付近で風香ちゃんを呼ぶ人が。
あれは……生徒会長?
風香ちゃんが遅くて、迎えに来たのかな。
「わかったら教えるよ?」
ボクはそっと風香ちゃんの頭に手を置いた。
いつもはやられる側なんだけど、今日はボクがする。
といっても、風香ちゃんに対してはたまにやってるんだけどね。
なんというか……
昔の癖、みたいな。