先生、ボクを飼ってよ



そして放課後。



風香ちゃんと修くんも一緒に、音楽室に向かった。



着いて最初にドアに手をかけたのは、風香ちゃん。


何度か引いてみるも、開かない。



「繭先生、まだ来てないのかな?」


「気分次第って言ってたし、今日は弾かないっていう可能性もあるよ? だから……」


「時間あるし、ちょっと待ってようよ」



帰ろうよって言おうと思ったのに。


どうして人の話を聞かないかな、風香ちゃん。



「なら、お前一人で待ってろ。俺と瑞貴は帰るから」



救世主、修くん……!



そしてホントに風香ちゃんを置いて、音楽室を離れていく。



ボクはどうしようか迷いながら、風香ちゃんを見た。


風香ちゃんは頬を膨らませている。



……かと思えば、思いっきり舌打ちをした。



「つまんねーの」



このキャラチェンジには、もう驚かないけどね。


むしろ、こっちのほうが風香ちゃんらしいし。



そして、風香ちゃんは諦めて修くんの後を追った。



先生のピアノが聴けないなら、ボクも帰ろっと。

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