先生、ボクを飼ってよ
あれから一週間、先生のピアノは聴けなかった。
まあ、もうすぐ中間試験だから当然なんだけどね。
先生はテスト作りとかで忙しいだろうし、ボクもテスト勉強で音楽室に行けなかった。
ボクの成績、どちらかと言うと悪いほうだし……
勉強しないと、留年しかねないから……
「瑞貴も今回は気合い入ってんな」
休み時間も勉強してたら、修くんが覗いてきた。
「補習なんかで放課後潰したくないからね」
それを機に、一旦手を止めた。
すると、懸命に机に向かう風香ちゃんの背中が目に入った。
「学年五十位以内に入ったら、告るんだと」
ボクの視線に気付いたからか、修くんが教えてくれた。
風香ちゃんが告白……
誰に?
「気になるか?」
修くんはなぜか勝ち誇ったような笑みを、ボクに向けてきた。
「修くん、知ってるの?」
「瑞貴が素直に知りたいって言ったら、教えてやるよ」
「ううん、本人に聞くからいい」