先生、ボクを飼ってよ
だって、写すだけって……
……やっぱり、やり方違ったか。
「……やり直し、ですか?」
「そうね。今から時間ある?」
「……あります」
先生に呆れられたのが、思っていた以上にショックだったみたい。
「じゃあ教室に行きましょう」
そんなところにこんな言葉聞いたら、間抜けな声になる。
「え?」
「こんなに出来てないのに、また一人でやれなんて、言えないわ。少しだけ教えるから」
先生と二人きり……!
そう思ったら、さっきまで落ちていたボクの気分は、一気に上がった。
「ありがとうございます」
職員室を出て、教室に向かう。
「それにしても、椎名君。本当に国語だけが苦手なのね」
「……幻滅しました?」
聞きたくないのに、聞いてしまった。
ボクは勝手にまた気分を落とす。
「どうして? 人には得意不得意がある。幻滅なんてしないわ」
先生のその言葉で、心の中にいたもやもやが、一気に消えた。