先生、ボクを飼ってよ


あたしも修と同じように、夕焼けを眺める。



「……瑞貴、なにか言ってた?」


「幼なじみだから、お前のことを心配するのは普通だとよ」



幼なじみ、か……



「完璧に線、引かれたな……」



いつの間にか視線は落ちて、あたしの視界には自分の上履き、そしてコンクリートしか映ってなかった。



「あんな鈍感野郎やめてさ、俺にすれば?」



あたしは一瞬、思考回路が止まった。


そして修の顔を見たけど、修はまっすぐ夕焼けを見たままだった。



なんだ……



「冗談やめてよ」



あたしは苦笑しながら言った。



「気持ち悪い」



それははっきりと、あたしの顔を見て発された言葉だった。



「……どう意味だ、コラ」



修を睨んだら、修は口角を上げた。



「そうそう、それでこそ佐伯風香だ」


「は?」
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