先生、ボクを飼ってよ
「呼んでみただけです」
ボクは悪戯に笑った。
すると、先生は少し頬を膨らませた。
……可愛い。
「……瑞貴君」
「え……!?」
ボクの聞き間違いじゃない……よね!?
先生、今、ボクの下の名前を……
「ごめんね、呼んでみただけ」
先生は無邪気に舌を出した。
まただ。
また、ボクだけ。
どうやったら、先生もドキドキしてくれる?
どうしたら……
「……繭、好きだよ」
ボクは、こう言うことしか思いつかなかった。
そして、先生の演奏は止まった。