先生、ボクを飼ってよ
繭side
「……繭、好きだよ」
椎名君は、間違いなくそう言った。
そうか、私、告白されたんだ。
ちゃんと理解出来たのは、数秒後だった。
演奏なんかしてる場合じゃない。
からかわれているのかと思って椎名君を見たけど、そんなことはなかった。
椎名君は、頬を赤くしている。
……真剣なんだ。
だとしたら、冗談と笑うことなんて出来ない。
「……ごめんなさい」
「……ボク、好きしか言ってないのに」
椎名君はうなだれた。
「でも、椎名君の気持ちには応えられないから……」
「だったらせめて、下の名前で呼び続けてよ」