先生、ボクを飼ってよ
……下の名前。
さっきは、椎名君にからかわれて悔しくて、仕返しのつもりで呼んだ。
まさか、それを続けてほしいと言われるなんて……
「……ダメ?」
子犬のような目を向けられても……
生徒との距離が近くなるのは、いいこと。
でも、これは違うと思う。
「繭先生?」
ダメ押しをするかのような、切ない声。
それが、私に冷静な判断をさせなかった。
「わかった、瑞貴君」
すると、瑞貴君は可愛い笑顔をした。
私が呼ぶだけで、椎名君……じゃなくて、瑞貴君は喜んでくれる。
本当に、私のこと好いてくれているんだって、思い知らされる。