先生、ボクを飼ってよ
しばらくすると、先生たちが整列の指示をした。
ボクの周りから徐々に人が減っていく。
「瑞貴ってマジでモテるよな。彼女とか作らねーの?」
そう聞いてきた修くんは、うっとうしそうな顔をしてる。
そっか、ボク、修くんに迷惑かけてるのか……
でも、中途半端な気持ちで、女の子と付き合うのはイヤだし……
「瑞貴はそのままでいいの。ねー?」
返事に迷っていたら、風香ちゃんがボクを抱きしめて、そう言った。
「女子に囲まれてるところを見せられる、こっちの身にもなれっつーの」
「……ごめんね、修くん」
「お前が悪いわけじゃねーから、そんな顔すんな」
修くんはボクの髪をぐちゃぐちゃにした。
修くん、怒ってるわけじゃなかったんだね。
「田辺君、椎名君、佐伯さん。早く並んで」
すると、森野先生が冷たく言ってきた。
もう、本当に怒ってるのかと思ってしまうから、笑ってほしいよ……
「聞こえなかった?」
「ごめんなさい、すぐ並びます」
ボクたちは急いで並ぶ。
それとほぼ同時に、始業式が始まった。
こんなにすぐ始まったってことは、ボクたちが並ぶのを待ってたってこと?
だから、森野先生は言ってくれたんだ……