先生、ボクを飼ってよ
田辺君が言っていたことは、本当ってこと……?
だとすると、ここで説得しないと。
「……椎名君」
「諦めない! ボクは、先生のことが好き。先生の全てを、独り占めしたい……!」
名前を呼んだだけなのに、椎名君は必死に、今にも泣きそうな顔をして訴えてきた。
人の気持ちを、これ以上完全否定していいものなの?
……ううん、いいわけがない。
でも、この問題は。
諦めてもらわないと、椎名君が傷付く。
「椎名君! わがままを言うような年じゃないでしょう?」
私は心を鬼に……出来てるかは別として、そのつもりで声をかける。
「でも……!」
「それに、生徒と教師が恋愛なんて、ありえない」
これを、早く言っておくべきだった。