先生、ボクを飼ってよ


田辺君が言っていたことは、本当ってこと……?


だとすると、ここで説得しないと。



「……椎名君」


「諦めない! ボクは、先生のことが好き。先生の全てを、独り占めしたい……!」



名前を呼んだだけなのに、椎名君は必死に、今にも泣きそうな顔をして訴えてきた。



人の気持ちを、これ以上完全否定していいものなの?


……ううん、いいわけがない。



でも、この問題は。


諦めてもらわないと、椎名君が傷付く。



「椎名君! わがままを言うような年じゃないでしょう?」



私は心を鬼に……出来てるかは別として、そのつもりで声をかける。



「でも……!」


「それに、生徒と教師が恋愛なんて、ありえない」



これを、早く言っておくべきだった。
< 79 / 116 >

この作品をシェア

pagetop