先生、ボクを飼ってよ


風香side



瑞貴から逃げて、あたしは職員室に行き、繭先生を呼んだ。


先生は要件がわかったみたいで、廊下を歩きながら話すことになった。



「先生、アイツをフッたって聞いたんだけど。迷惑なんだって?」



相手がわかってるなら、単刀直入に言ってもいいと思った。



廊下で生徒がいるから、瑞貴の名前は伏せたけど。



「……ええ」



その間はなに?


答えにくいこと?


これが?



事実を言うだけなのに、戸惑うことなんてある?



「繭先生、本当は好きでしょ。アイツのこと」



思考回路が迷ったせいか、聞いても意味のないことを聞いた。



……あたしって、馬鹿だな。



「なにをもってそう思ったのかわからないけど、違うわ」



ほら、やっぱりこう返される。
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