さよなら、嘘つき君。
「な、成瀬玲」
驚きのあまり、とっさに出た言葉がコレだよ。
『あ、うん。俺は成瀬玲。1年の時は違うクラスだったよね?しかも遠かったかな。こころちゃんのこと、見かけたことなかったかも』
「ご、ごめん」
『何が?』
彼の切れ長の二重目が私の顔色を窺うように見える。そんな目線に合わせることもできず、私は視線をずらしながらまた口を開く。
「い、いや。えっと、成瀬君……よろしく」
本当に彼の笑顔が苦手だ。私に優しくしないでほしい。私に向けるその眩しい笑顔に対しても、私は少し目を伏せて、私は彼を見ることができなかった。