さよなら、嘘つき君。


成瀬君の周りには、いつも可愛くて綺麗な子がいるのに、私のような平凡な人にまで優しくするなんて、おとぎ話の中の王子様のようだ。


『あ、葉っぱ』


いろいろ考えてると、また成瀬君の手が私の頭に伸びてきて、私はびくっと体をはねさせた。「ごめんね」と言って、私の頭についてた葉っぱを見せてきた。


「ありがとう…な、成瀬君、今日は用事あったんじゃないの?」

『ん?あー教室でのこと聞こえてた?』

「うん、耳に入っちゃって」

『単純に今日はお休みの日!女の子と遊ぶの休憩!でも、今日も休めないみたい』


そう言って、「にゃ~」とさっきまでどこかに行っていた、あの白猫が成瀬君のひざに座った。

成瀬君は猫にもモテるらしい。

そんな姿に思わず、ふふっと笑みがこぼれる。


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