さよなら、嘘つき君。
それにつられたように、成瀬君も柔らかく笑った。
「あ、今。笑ったね」
『え?いつも、笑ってるけど……』
「いつもの笑顔は、本当の笑顔じゃないでしょ?無理して笑わないで、今みたいに笑えばいいのに」
『こころちゃん、今日本当に初対面だよね?』
「え、そうだけど……あ、ごめん。初対面の人に失礼だよね。朝も、ごめん」
『こころちゃんが謝ることじゃないよ、だって……本当のことだから。でも、俺は今のままでいいから、別に誰かを傷つけてるわけじゃないし』
「傷ついてるよ、成瀬君」
『え?』
「成瀬君本人、傷ついてるでしょ?」
『なにそれ、あ、夕日綺麗だね』