さよなら、嘘つき君。
膝から、のどを気持ちよさそうにゴロゴロ鳴らしていた猫を「よっ」と持ち上げた成瀬君はすくっと立ち上がった。
『写真部さん、ほら、写真撮ってよ』
「え?」
『夕日をバックに、俺を撮ってよ。―偽りの俺を』
そう言った成瀬君は、振り返って笑顔を向ける。
私も彼の言った通りに、カメラを向ける。
――パシャッ
綺麗なオレンジ色の夕日と、笑顔の成瀬君。とても綺麗に撮れた。でも、私の胸はモヤッとした。