さよなら、嘘つき君。
昨日の放課後のことを謝ってきて少し驚いた。
きっと彼の中で、あの事はなかったことにしたいんだろうなって思った。私にこれ以上かかわってほしくないのかな。
――「緑ヶ丘~緑ヶ丘~」
学校の最寄り駅に止まる電車。扉が開き、成瀬君は私よりも先に出た。
また少しモヤっとした。
「――な、るせくん!」
成瀬君が遠くなる気がして、私は思わず彼の名前を呼んだ。いつもの小さい声じゃ通らないから、大きい声で呼んだ。