さよなら、嘘つき君。



『今まで、こころちゃんみたいな子いなかったよ。俺が優しくすれば、みんな俺によくしてくれる。笑顔を向ければ、俺のこと好きになる。仲良くしてくれる。それなのに、こころちゃんは、俺のこと、嘘つき呼ばわり。こころちゃん、お願いだから、俺を見透かさないで』


悲しい表情で私を見つめてくる成瀬君に、私は胸が痛む。


――ああ、またこれだ。少し罪悪感。別に責めてるわけじゃないのに。


でも、ここで引き下がったら、なんか嫌だ。


「そんなの無理!見てみぬふりしてるみたいで、嫌だ。私は本当の成瀬君と仲良くなりたい!」

『ふはっ、ははっ!なんだよ、それ。こころちゃん、そんなカッコいい子だったっけ?』





< 35 / 78 >

この作品をシェア

pagetop