さよなら、嘘つき君。
――中学3年の秋のことだった。
『こころ』
「何?」
朝比奈君は部活を引退して、よく二人教室に残って放課後勉強をしたりしていた。朝比奈君が私を名前で呼ぶくらいに、私たちは仲良くなっていた。
『俺たちさ、付き合わない?』
――ドキッ
少し伸びた前髪からチラッとのぞかせる綺麗な瞳が、私をとらえる。私の答えは決まっていた。
「う、ん……」
『……よかった。大事にするから』
朝比奈君はそう言って、ニコッと眩しいくらいな笑顔を私に向けてきたのだった。