さよなら、嘘つき君。



――これは、ずるい。反則だ。


成瀬君は私の頭に置いていた手を私の体全体を包むように、抱きしめた。こんなことされているのを見られたら、私はまた呼び出し決定だろうな。


でも、本当に怖かった。過去のことがあったから……。


わたしも自然と彼の背中に手を回してしまっていた。



『あ、意外な反応。かわいい、こころちゃん』


私を包む彼の両腕がギュッと強くなったのがわかった。





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