さよなら、嘘つき君。




俺はこころちゃんが好きなわけではない。

だって俺は、今まで誰も本当に好きになったことないから。

女の子は俺のこと好きになってくれても、俺の言う彼女たちに対しての「好き」は本当の「好き」ではない。中身のない「好き」。それでも、彼女たちは喜んでくれる。俺から離れたりはしない。



偽物の成瀬玲をみんなは「好き」なんだ。


――本当の”成瀬玲”は、からっぽの”成瀬玲”。そんな俺を、誰が好きになってくれるんだよ。


それなのに、こころちゃんにこだわってる自分がいる。こころちゃんには嫌われたくないかな、と思う自分がいることに、気づいてしまったようだ俺は。



< 66 / 78 >

この作品をシェア

pagetop