さよなら、嘘つき君。



『ふーん、そうなんだ』


それだけ言って、彼はまた前を向き始めた。最近はずっとこんな調子だ。成瀬君は何かと私に話しかけてくるけど、私はそっけなく答えてしまう。


『こころ、次体育だから、更衣室いこ!』

「あ、待って」

『ほら、早くしないと置いて行くよ』


次の授業は体育で、ゆきちゃんが体操着を持って、私を誘いに来た。私も急いで、体操着を手にして、更衣室へと足を急がせた。


『成瀬、こころのこと気にいってるんだね』

「へっ?!」

『だってここんところ、毎日こころの方向いては話しかけてる。リカちゃんはあんまり成瀬成瀬って言わなくなったし』



< 68 / 78 >

この作品をシェア

pagetop