さよなら、嘘つき君。
『ふーん、そうなんだ』
それだけ言って、彼はまた前を向き始めた。最近はずっとこんな調子だ。成瀬君は何かと私に話しかけてくるけど、私はそっけなく答えてしまう。
『こころ、次体育だから、更衣室いこ!』
「あ、待って」
『ほら、早くしないと置いて行くよ』
次の授業は体育で、ゆきちゃんが体操着を持って、私を誘いに来た。私も急いで、体操着を手にして、更衣室へと足を急がせた。
『成瀬、こころのこと気にいってるんだね』
「へっ?!」
『だってここんところ、毎日こころの方向いては話しかけてる。リカちゃんはあんまり成瀬成瀬って言わなくなったし』