さよなら、嘘つき君。



『桜庭さん、大丈夫?!ご、ごめん!』


頭を抑えてしゃがんだ私。すぐにクラスメートが駆け寄った。私にボールをぶつけてしまった女の子が謝ってくる。


「大丈夫だよ」と答えながらも、少し頭がクラクラした。少しめまいもする。


私がよそ見なんかしてるから悪いのに、何度も「ごめんねごめんね」と切実に謝ってくる女の子。そばでゆきちゃんも私の名前を呼ぶのが聞こえる。

――あ、なんか倒れそう……。


そう思ってると、フワッと体が浮く感じがした。

また女の子たちの「きゃ~」って声がした気がしたけど、私には聞こえなくなった。



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