嫌いは好きの言い様
あたしは、バレー部に入った。

バス

「ナイス!遠野さん!」

「すごいね!」

部活は絶好調だった。

毎日毎日練習はキツイけど楽しかった。

皆が帰った後もあたしは、練習を続けた。

「あ、待って待って!」

ボールが体育館出口に転がった。

その時

制服を着た茶髪の男性が立っていた。

「これ君の…?」

「は、はい!」

(誰…?ウチの生徒じゃないよね?)

「あ、怪しい者じゃないから!俺ここのOBで!
初めまして!
麻生拓也です!」

「あ…初めまして。遠野懍です。」

「よろしく、懍ちゃん」

拓也との出会いもこれが最初だった。

そして、拓也はたまにちょくちょく顔を出すようになった。

来てはバレーの事、色々教えてくれた。

そして色んな話をした。

ポーン

「懍ちゃんさ、好きな人いる?

ポーン

「いないですよ?あ…。」

コロコロ

「ありが…」

「じゃあさ、俺と付き合ってよ。」

「えっ?」

「いきなりでごめん。でも俺、本気なんだ。懍ちゃんの頑張ってる姿見てたら好きになったんだ。」

「…あたしは」

「返事は今度来た時聞かせて…待ってるから。じゃあ」

そう言って、拓也さんは体育館を出ていった。

「ど、どうしよう…。」

告白…普通はときめくのに全然ピンと来なかった。

…された事ないから?

そして、あたしは片付けをして体育館を出た

その時靴箱の近くでしゃがんでいる優華が見えた。

(…優華?)




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