紳士的上司は愛を紡ぐ
studio1 女子アナと呼ばないで

真っ白なA4用紙に並ぶ、真っ黒な活字。
辺りを照らすスポット。
レンズの向こうに控える大人達。

ここが私の戦場。

「それではWeekdays night、また来週です。
素敵な週末をお過ごし下さい。」

午前1時、金曜日と土曜日の境目。
こうして私の1週間は終わる。



「お疲れ様でした〜」

放送後、本日の反省・来週の打ち合わせを簡単に済ませ、挨拶を交わしてオフィスを出る。

日付が変わったばかりの夜空は、深い闇に包まれている。こんな都会のオフィス街では、無数にあるはずの星も輝けない。

空を見上げた顔を前に向き直すと同時に、9月のもうすっかり冷たくなった秋風が吹き抜けた。冷やさないようにと思い、直ぐにマスクを着用する。
< 1 / 143 >

この作品をシェア

pagetop