紳士的上司は愛を紡ぐ
彼女もアナウンサーになったのだろうか。
頭の片隅でそう考えつつ、
新人アナとして奮闘して2年。
そこへ入ってきたのが───
「二宮 麻里です、宜しくお願い致します!」
─────声を聞くだけで、あの球場が蘇る。
「あの女の子、二宮アナだったんです。」
*
*side 麻里
予想外の展開に耳を疑う。
「まさかっ、そんなはずは!
だって、八王子アナの出身は、関西だって」
以前、公式プロフィールで見たことがある。
一方の私は、生まれも育ちも神奈川だ。
「確かに生まれは大阪ですが、中学生の頃、両親の都合で川崎に引っ越したんです。
プロフィールはそのせい。」
と言って彼は悪戯っぽく笑う。