紳士的上司は愛を紡ぐ

彼女もアナウンサーになったのだろうか。

頭の片隅でそう考えつつ、
新人アナとして奮闘して2年。

そこへ入ってきたのが───

「二宮 麻里です、宜しくお願い致します!」

─────声を聞くだけで、あの球場が蘇る。


「あの女の子、二宮アナだったんです。」



*side 麻里

予想外の展開に耳を疑う。

「まさかっ、そんなはずは!
だって、八王子アナの出身は、関西だって」

以前、公式プロフィールで見たことがある。
一方の私は、生まれも育ちも神奈川だ。

「確かに生まれは大阪ですが、中学生の頃、両親の都合で川崎に引っ越したんです。
プロフィールはそのせい。」

と言って彼は悪戯っぽく笑う。
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